どうも、みーくんです。
すっかり、辺りはクリスマスムード一色に染まっていますが、私の中では全くクリスマス感がありません。私だけパラレルワールドの住人なんでしょうか。歳を重ねるにつれて感性が失われてきているということなんでしょうね。
さて、今回はクリスマスとはまったく関係のないテーマを持ってきました。内容は、「日本企業の生産性の低さ」についてです。情報源は、日本生産性本部の調査によるものです。その概要と私の所感について述べていきたいと思います。
日本の労働生産性
日本生産性本部の調査により、日本の労働者が1時間あたりに生み出す成果が4733円であり、G7(Group of Seven,フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本)の中で最下位であると判明。これはアメリカの労働生産性の3分の2に留まる。OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development,経済協力開発機構)加盟国36ヶ国で比較すると、20位。製造業だけで見ると、15位。
所感
まず、「労働生産性」の算出方法について興味があったので調べてみました。
労働生産性=GDP(Gross Domestic Product,国内総生産)/労働者数×労働時間
日本はGDPでは世界3位です。しかし、生産性で後れをとっているということになります。つまり、付加価値のアウトプットは高水準なものの、「労働者数」「労働時間」の割合がそれ以上に多くなっているということですね。特に身近なのは「労働時間」ですよね。長時間残業が社会問題視されており、近年では働き方改革も推進されています。無駄に過ごしている時間が多いということにもなります。
しかし今、日本政府が行っていることは人手不足を解消するための「外国人受け入れ」です。労働力を確保することは大切なのですが、上記の計算式に当てはめてみたときに、分母が大きくなるので労働生産性は下がります。つまり、「潤沢な労働力の確保」と「労働生産性の向上」を両立させることは難しいというのが現状です。
生産性を上げるということは、今までの定型業務を自動化するということなので、リストラの要因ともなります。自動化の最たる例としてAI(Artificial Intelligence)の重要性が叫ばれていますが、導入に際しては慎重になるべきです。
確かにAIを導入することで、労働者数の削減に寄与し、結果労働生産性の向上に貢献します。しかし、AIによって代替され、職を失った労働者の「パフォーマンス」という観点で考えてみてください。以下順を追って説明します。
まず、①AIを導入できない職種と②AIを導入するべき職種を挙げていきましょう。
①
営業
理由:顧客先との信頼が前提としてあるため。人とAIとの間に信頼は成り立つか、という議論になる。
企画
理由:クリエイティブな発想が必要になるため。AIは基本的に定型業務の効率化にのみ効果を発揮する。
②
経理、財務、会計、秘書、コールセンター
理由:定型業務が多いため。RPA(Robotic Process Automation)を優先的に導入する対象となる。
※理由に記載した内容は私が想定している一般的な解釈です。
現在AIの導入状況はアメリカが13.7%なのに対して、日本は5.0%です。その5.0%のうち、現時点ではおそらく大半が②の職種が対象になっているであろうと予想しています。
では次に、①人手不足な職種と②人手が足りている職種を挙げましょう。するとこのようになりますね。
①
営業、介護、飲食、小売、建設
理由:一般的に激務・薄給と言われているため。
②
一般事務
理由:単純作業が多く、負担がかからないため。
ここで重大なことに気づきませんか?そうです、人手不足な職種ほどAIで代替できないんですよ。つまり、今後人手不足の職種とそうではない職種との格差が拡大するということなんですよ。そして、AIによってリストラされた人が労働市場に戻らない可能性もあるんです。彼らは、事務の仕事がしたいという意思を持って入社したという方がほとんどなので。そのような方が営業等の激務を望むでしょうか。当然敬遠しますよね。仮に、転職したとしても、転職先でのパフォーマンスって事務系で働いていた頃よりも下がりますよね。このパフォーマンスがGDPに繋がり、延いては日本の労働生産性に寄与するんですよ。要は、一企業の範疇では、AIに投資することで生産性を上げることができるんでしょうけど、日本全体で考えてみた際に個々人のパフォーマンスは下がるよね、という話です。これ、割と痛い損失ではないでしょうか。一企業におけるAI導入コストと個々人のパフォーマンスの損失、どちらが日本にとって打撃かということですね。
そして、次にAI導入という視点で、労働生産性において日本はアメリカを超えることができるのかを考えてみましょう。結論から申し上げますと、できません。至極当然な話ではありますが、優先度の高いAI代替対象の職種である一般事務は国民の母数が多いアメリカの方が相対的に多くなるはずであり、代替対象の人数が日本より多くなるので、分母の「労働者数」に寄与するからです。今後の予想としましては、日本とアメリカの差は緩やかに広がっていき、やがて限界に達し一定になります。仮に一般事務の仕事をAIがすべて代替した場合、営業・企画等の職種には代替できる余地がないため、導入推移が硬直するということです。したがって、日本が巻き返しを図るには、AI導入以外で対策を施すしかありません。私が日本企業の生産性が低いと感じる要因は以下の通りです。
・人間関係を重視している。「同調」「没個性」の国民性であり、出る杭は打たれる文化である。
・職人気質である。効率よりもクオリティを意識する。ゆえに過剰品質になる。
・何をやるにも稟議を回さないと気が済まない承認文化がある。個人の裁量に任せていない。
・会議が無駄に長い。これによって労働時間が増えてしまう。
上から順に説明します。まず1つ目です。「出る杭は打たれる文化」は現在の日本教育に罪があると考えることができます。というのも、今の日本教育って「習ったこと以外のやり方は認めない」という風潮があるんです。これは個性を認めていないことにもなりますし、生産性を下げる要因にもなりますよね。不自然なところにこだわりがありませんか、今の教育。この教育制度を改めないことには、日本は何も改善できないと思うのです。
次に、日本の職人気質についてです。Made in Japanブランドから推察するに、日本は効率そっちのけでクオリティを重視するきらいがあります。品質を妥協する勇気も必要になるのではないでしょうか。
次に、承認文化についてです。日本は特に意思決定が遅いと言われます。権限を明確化し、個人の裁量に任せる企業風土を醸成するべきではないでしょうか。そのために、個人に任せた後に発生するリスクを受け入れられるように体制を強化するべきです。
最後に、無駄に会議が長いことについてです。事前に情報共有できる内容は、社内チャット等を活用して済ませておけば、労働生産性の計算式上の分母に該当する「労働時間」の削減に寄与します。