みーくんの思考世界

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「景気回復」の信憑性

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どうも、みーくんです。

12月も中盤に差し掛かりましたね。この時期は上半期労働分のボーナスが支給されるということもあり、毎年意気揚々な雰囲気に包まれます。日本経済団体連合会によると、今年の冬のボーナス額は過去最高だったようですね。景気が上向いてきた印象を受けますが、実際どうなのでしょうか。

最近、内閣府が「景気回復」について正式発表していたので、今回はその概要と私の所感について述べていきたいと思います。

 

発表内容

概要:

2012年12月~2017年9月までの景気回復の「長さ」が高度経済成長期のいざなぎ景気を超えたと発表。

調査方法:

景気動向指数研究会を開き、生産や消費等のデータを踏まえて判断。

内閣府による要因分析:

日本銀行が金融緩和政策の一環として打ち立てた「マイナス金利」によって、民間の銀行が日本銀行に預金するメリットが無くなり、民間企業に投資するようになった。また低金利となったので、マネーが金利の高い国に流れ、円安が進行。結果、輸出産業の業績が潤った。

 

所感

何をもって「景気回復」と判断するのか、その論拠は採用した経済指数により変わります。今回内閣府が採用した指数は「景気動向指数」です。景気動向指数を決定づける要素を以下見ていきましょう。

 

先行指数
(景気に対し先行して動く)
一致指数
(景気によって変動して動く)
遅行指数
(景気に遅れて動く)
最終需要財在庫率指数  生産指数  第3次産業活動指数
鉱工業用生産財在庫率指数 鉱工業用生産財出荷指数  常用雇用指数
新規求人数  耐久消費財出荷指数  実質法人企業設備投資
実質機械受注  所定外労働時間指数  家計消費支出
新設住宅着工床面積  投資財出荷指数  法人税収入
消費者態度指数  商業販売額  完全失業率
日経商品指数  営業利益  きまって支給する給与
マネーストック 有効求人倍率  消費者物価指数
東証株価指数    最終需要財在庫指数
投資環境指数     
中小企業売上げ見通しDI    
 
※DI(=Diffusion Index)
   3ヶ月前の値と比較して、生産や雇用等の指標の割合をパーセントで表示する指標
※国全体のGDP、国民一人当たりのGDP、実質賃金指数は対象外。


東京証券取引所の株価指数(TOPIX)・有効求人倍率等のマクロ的な要素から、営業利益・消費者物価指数等ミクロ的な要素まで幅広いですね。尚、消費者物価指数とは、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格を総合した物価の変動を測定する指数のことです。 

しかし、ここで注目するべきは以下の2点です。

 

①代表的な経済成長の指標であるGDP(Gross Domestic Product,国内総生産)が対象外となっている

②遅行指数の一要素である「決まって支給する給与」は名目賃金と同義であり、その名目賃金から消費者物価指数を割って求められる「実質賃金指数」が対象外となっている

 

①はマクロ的側面で②はミクロ的側面です。景気動向指数は網羅性は高いと言えますが、不足している指数があるのです。

①について、IMF(International Monetary Fund,国際通貨基金)の統計によると、以下のデータが出ています。

 

■国民一人当たりのGDPを政権ごとに概観すると、第二次安倍政権で30.5%のマイナスとなっている。

■1997年~2016年の国の名目GDPの伸び率は100.5%と横ばい傾向。

 

国内で産み出された付加価値の推移が硬直していることを示唆しています。内閣府は、輸出産業が儲かっているのが要因であると分析していますが、それ以外の産業も総合的に踏まえた視点が欠落しています。そもそも日本は内需国家なので、輸出産業が活気づけば経済全体が成長しているという論理は破綻しているのです。グローバルノートの『世界の貿易依存度』によると、輸出に依存している割合が日本は186位の27.45%という結果になっています。このデータを元に考えると、「材料を安く輸入→加工→付加価値をつける→国内で売る」というプロセスが画期的に思えてきます。そもそも日本はそういった「加工国家」として発展してきました。よって「円安」より「円高」になった方が、国外から材料を安価で調達できる分幸せになれるのではないでしょうか。

また、②については、日本の平均年収の推移を見てみると、ほぼ横ばい傾向になっているのが現状です。国税庁の『民間給与実態統計調査』では、2017年の年間での民間平均給与(=名目賃金)は432万円となり、前年比2.5%増加しましたが、厚生労働省の『毎月勤労統計調査』によると、実質賃金指数が2014年から減少しています。つまり、第二次安倍政権でインフレーションが実現し、実質賃金指数の計算における除数である物価は上昇したものの、被除数の名目賃金は上昇が緩やかなので実質賃金が下がったということになります。名目賃金の上昇が緩やかな理由は企業による節税対策の一環にあるとも言えます。というのも企業の利益と人件費は消費税の課税対象なので、人件費を削ることでコスト削減に寄与するからです。非正規雇用の増加もそのためでしょうね。そして、インフレーションはカネの移動が活発になるので、その分モノ・サービスに携わる要員が必要になり人手不足にも繋がります。

更に私たち国民には「家計」等個人レベルの要素が最も身近であり、景気の判断根拠になります。総務省の『家計調査』では、消費が過去35年間で最低との結果が出ており、2013年から急降下しています。

これらから分かる通り、採用した経済指数に差異がある限り、内閣府が「経済成長している」と公表しても、私たち国民からすると、実感がまるでないという現象に陥るのです。

そもそも、いざなぎ景気と比較している内容って景気の「長さ」ですよね。成長率においていざなぎ景気を超えることはないのではと思います。

国民一人ひとりが景気回復を実感しない限り、内閣府の暴論でしかありません。