どうも、みーくんです。
一昨日、リワークを終えた後の帰途、いつも通りスマホを取り出し暇つぶしにネットサーフィンにでも勤しもうかなと思っていたら、何故かインターネットに繋がらないという事態に巻き込まれました。
そう、原因はSoftbankの通信障害です。数分で解消されるかなと思っていたものの、数時間かけても復旧しないという異例のトラブルとなっていました。今回はSoftbankユーザに影響を与えた通信障害について、その全貌と私の所感について述べていきたいと思います。
何が起こったのか
内容:
2018年12月6日13:39~18:04の約4時間半、Softbankに通信障害が発生。
状況:
インターネットへのアクセスはもちろん、アプリ系の通信もシャットアウト。
影響:
搭乗券を確認するためにSoftbankの携帯端末を使用しているジェットスターは、手作業で確認することになり、結果飛行機に遅延が生じた。
佐川急便のトラック運転手はSoftbankの携帯端末を使用しており、再配達依頼の連絡が届かなかった。
GRAYのライブでは、電子チケットを確認するという形態をとっていたため、QRコードでの入場は不可能となり、急遽本人確認は行わないという対応をとった。
原因:
スウェーデンに本社を置くエリクソン社のパケット交換機「vMME(Virtual Mobility Management Entity)」のソフトウェア異常。本来、機器同士で通信し合う際には、パケット交換機が発行する「ソフトウェア証明書」を確認し、機器がパケット交換機を正当な設備であると認識しなければならない。ソフトウェア証明書の更新は一定期間ごとに発生するが、その更新が滞り、証明書が期限切れとなった。日本以外にも11ヶ国の通信事業者で通信障害が発生した。
取扱:
電気通信事業法第57条の「重大事故」に該当。発生日時等の事項について30日以内に総務省へ報告。事故の報告を行わない又は虚偽の報告をした場合については、三十万円以下の罰金を請求する「ことがある」。総務省からの行政指導が入る。
所感
ウルトラギガモンスター+のCMで「事件は起こる。Wi-Fiがない場所で。」という宣伝文句がありましたけど、完全にフラグ回収となってしまいましたね。ご愁傷さまです。
さて、事実を順に確認していきましょう。
まずは、「影響」です。異例のインフラ障害ということもあり、影響を受けたユーザは計り知れません。これ、実際試算してみたらどのくらいの損害になるんでしょうね。試算で結構ですので、どなたか結果を見せていただければ幸いです。損害が発生したのですから、必然的に損害を賠償する責任が発生します。そう、損害賠償額ですね。さてどうなるかな~と状況を見ていたんですけど、大事な観点が抜けていました。「契約約款」です。携帯端末を契約する際は、読み飛ばしてしまう方が多いと推察されますが、念のため内容を確認していきましょう。
『Softbank 4G通信サービス契約約款』
https://cdn.softbank.jp/mobile/set/data/legal/articles/pdf/4g_003.pdf
こちらの第11章51条を見てください。
4G通信サービス等が全く利用できない状態にあることを当社が認知した時刻以後のその状態が連続した時間(24時間の倍数である部分に限ります。)について、24時間ごとに日数を計算し、その日数に対応した当該4G通信サービス等に係る次の料金の合計額を発生した損害とみなし、その額に限って賠償します。
ありましたね。「当社が認知した時刻」という曖昧かつ恣意性が残る表現は気にくわないですが、要は24時間以内に復旧した場合賠償しないことを意味しています。
私はこの約款を読み飛ばしていたので、今月の通信料タダにしてもらえるのかな~との妄想を膨らませていました。極めて残念です。
次に「原因」です。パケット交換機のソフトウェア異常である限り、瑕疵担保責任はエリクソン社にあります。エリクソン社はスウェーデンのストックホルムに本社を置いていますが、日本法人は東京都新橋にあり、法人名は「エリクソン・ジャパン株式会社」です。ちょっと気になったので、エリクソン・ジャパン株式会社について調査してみました。
資本金:
3億2千万円
事業内容:
電気通信機器および周辺機器の研究開発
コンサル・運用・保守
シェア:
現在、世界で50億以上ある全モバイル端末の約40%がエリクソンの設備システムを通じて利用されている
異常発生した機器:
vMME(Virtual Mobility Management Entity)
vMMEを導入した時期:
2016年2月
vMMEを導入した経緯:
クラウド導入プロジェクトの一環で導入
(※エリクソン・ジャパン株式会社HP、2016年2月19日のプレスリリースより抜粋)
このデータを見る限り、電気通信の設備システムにおいては世界的なシェアを誇っていますね。信頼性も高そうです。今回異常発生したパケット交換機「vMME」はSoftbankのみならず、docomoも導入しています。
今回Softbank側は全責任をエリクソン社に擦り付けているようですが、それは違いますよ。電気通信事業法による罰則はないにせよ、「安定した通信環境を提供すること」を本業としている大手キャリアである限り、Softbankも責任逃れできません。というのも、今回同じパケット交換機を導入しているdocomoは通信障害を回避しているんですよ。これって何故だか分かりますか?冗長化構成にしているからです。
docomoがホットスタンバイかコールドスタンバイか知りませんが、設備機器ってリスク分散のために冗長化構成にすることが重要ですよね。インフラ機器なら尚更です。それにも関わらず、SoftbankはvMMEしか導入していないことが露呈されたわけですよ。年内に株式上場が決まっているのに大丈夫ですかね、Softbank。
そりゃ100%の稼働率なんて無理な話なんで、稀にある設備異常はまだ許せますが、問題はSoftbank側の対応なんですよね。というのもSoftbankから未だ正式な謝罪のメールが入ってないんですよ。いや、私は別に謝罪メールを求めているわけではないんですけど、今回の通信障害で多少なりとも影響を受けた個人・企業からは許してもらえるんですかね、これ。もしかして、今回設備のみならずSoftbank本社の社員の脳内にも障害発生していませんか。今Softbankからのメール確認してますけど、最新のメールの内容「ファミチキクーポン」ですよ。
そして、今回の通信障害によって、日本社会がインフラに依存しすぎていること(=スマホ依存)が露呈されましたね。現代人は「インフラが機能していることが当たり前」であると思い込んでいます。そのため、通信事業者からサービスを提供されているとの実感がないのです。まぁ、目に見えないものだから気持ちは分からなくもないのですが。通信障害によってSoftbankショップにクレーマーが押し寄せたみたいですし、通信インフラが今後半永久的に機能しなくなった場合、現代日本人がどうなるか想像もつきません。今現在フランスで発生している燃料税増税に対するデモのように、暴徒化するんじゃないでしょうかね。今後のインフラリスクを考慮すると、個人レベルでインフラに頼らなくても幸せに生きていける生活様式を確定させるべきだと思います。
世の中って、「あって当たり前」を元に、新たなサービスが次々と打ち出されていくので、その土台が崩れ落ちたときの影響が尋常じゃないわけです。そういった意味でも、インフラリスクは恐いです。例えるなら、ウォーターフォールの開発工程で、要件定義に誤りがあった並みの絶望感です。そのため、「あって当たり前」を「当たり前ではない」と認識することで対策する必要がある気がしています。土台が崩れ落ちてしまった際の対策です。アプローチとしては、以前私がブログで書いた『常識を誤用し、常識に安心している現代人』とほぼ同じです。念のため該当記事を以下掲載します。
そういえば、中国の通信機器大手「華為技術」の孟晩舟CFO(Chief Financial Officer,最高財務責任者)が対イラン制裁違反で逮捕されましたが、競合他社であるSoftbankに刺客が送り込まれてきた可能性も否定できないような...いや、邪推ですね。