どうも、みーくんです。
今年の冬は例年と比較して、暖かい気候ですね。暖房を必要以上に使わなくて済み、節約にも繋がりそうです。
さて、今回は11月27日に自民党・公明党の賛成多数で可決され、衆議院を通過した「入管法改正案」について、①入管法とは何か、②何が改正されたのか、③所感に分けて述べていきたいと思います。
入管法とは
正式名称は「出入国管理及び難民認定法」となります。1951年にポツダム宣言の一政令として施行されました。そのため表向きでは「政令」なのですが、効力は「法律」と変わらないという特殊な形態をとっています。名実共に法律ではないため、「この法律は...」という表現は基本的にしないことになっています。現在の改正案が検討される前までは、外国人を受け入れる場合、「法務省」「入国者収容所」が所掌していました。
この入管法ですが、社会情勢に合わせて何度か改正されています。その内容は以下の通りです。
1982年:
難民認定業務を法務省が担当することになり、内容を改正
1990年:
在留資格を再編
2001年:
フーリガン(サッカーの試合会場の内外で暴力的な言動をする暴徒化した集団)の入国拒否
2004年:
退去強制手続き以外の方法で日本から出国させる制度を創設
2005年:
難民受け入れ可否の判断に「難民審査参与員」による第三者的な見地での判断を取り入れる
2007年:
入国審査での指紋採取、写真撮影が義務化
2009年:
現行の外国人登録制度を廃止し、在留カードの交付等、新たな在留管理制度を導入
2014年:
現行の高度人材査証に加えて、「高度専門職1号」「高度専門職2号」を創設
何が改正されるのか
改正される内容は以下の通りです。
①外国人受け入れ枠を14業種に拡大
内訳は「介護」「ビルクリーニング」「素形材産業」「産業機械製造」「電気・電子情報関連産業」「建設業」「造船・舶用工業」「自動車整備業」「航空業」「宿泊業」「農業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」になります。
②特定技能1号と特定技能2号の創設
特定技能1号と特定技能2号の定義は以下の通りです。
特定技能1号:
一定程度の知識又は経験を要する業務に従事する者。在留期間は最長5年。14業種すべてでの受け入れを想定。特定技能2号と比較してニーズが高い。
特定技能2号:
熟練した技能を要する業務に従事する者。在留期間は無期限。一定の試験に合格すれば、特定技能1号から移行できる。「建設業」と「造船・舶用工業」の2業種での受け入れを想定。
③出入国管理庁の新設
外国人受け入れを所掌していた「法務省」「入国者収容所」に加えて、法務省の外局として「出入国管理庁」を新設。
所感
入管法を改正するのは構わないのですが、そもそも外国人が労働先に日本を選ぶのかが疑問です。というのも、日本は2005年に受け入れ基準を緩和してもなお、諸外国と比較すると未だ規制が厳しいのが事実だからです。また、現在の日本の賃金水準で優秀な外国人が集まるとは想定できないです。雇用契約上では「特定技能外国人の報酬額を日本人の同等以上とする」と定めていますが、これって外国人への聞こえを良くしているだけですよね。実情は「奴隷」を集めたいだけな気がします。何故そう断言できるのかというと、野党が12月3日に、受け入れ企業から失踪した外国人の技能実習生から理由を聴取したのですが、回答者の7割が最低賃金未満の時給で働いていたことが判明したからです。月額換算で給与が10万8千円だったようです。表向きでは「人手不足の解消」に寄与すると謳っていますが、意図しているのは「低賃金労働者の確保」に他なりません。携帯料金に揶揄するとするなら、毎月定額料を払えば使い放題な都合の良い労働者しか求めていないのです。人件費抑制しか黒字を出す方法を思いつけない現在の日本の労働事情が如実に表れています。
今注力するべきは、外国人労働者の受け入れではなく日本の非労働者を労働市場に参入させることではないでしょうか。非労働者とは、いわゆるニートです。世の中には「働かなくては生活できない人」と「働かなくても生活できる人」に分かれていて、後者であるニートを有効活用することが急務です。また、ニートは実家に寄生していることが多いので、外国人を受け入れる際に検討するべき「社会保障の拡充」「居住環境の用意」に奔走する必要がなく、低コストです。
また、今回の入管法改正案ですが、詳細な内容や定義等は法案成立後に法務省令で最終決定されるものであるため、衆議院通過の段階では不明確な部分が多いです。例えばざっと以下が挙げられます。
①外国人労働者は何人受け入れるのか
②特定技能1号で定義されている「一定程度の知識又は経験」とは具体的に何か
③特定技能2号で定義されている「熟練した技能」とは具体的に何か
④特定技能2号の合格要件である「一定の試験」の実施主体と試験内容は何か
⑤受け入れ後の外国人向けの社会保障や生活支援は具体的に何をする予定なのか
また、特定技能1号の在留期間は最長5年とされていますが、期限付きの在留資格は機能しない可能性があります。というのも、外国人を受け入れ、3~5年かけて日本語の教育から仕事のノウハウまでを教え込むので、それらにかかる経済的コスト・時間的コスト・肉体的コストは膨大であり、そんな外国人が仕事に慣れてきた頃に帰国されたのでは、受け入れ企業としては納得いくはずがないからです。したがって特定技能1号の外国人労働者は事実上の永住となるでしょうね。